うちの息子が一人立ちしたいからと行って家を借りた。息子の一人立ちと行っても朝立ちのことではない。朝から何をするというのだ。ナニをする。そうかも知れない。なんせうちの息子は私に全く似ていない。私は丸顔、息子は瓜実顔。私の目はコンタクトレンズを入れるにも困るほどに細いが、息子の目はかわいい。私は少し太っているが、息子は細い。近所の人は私に挨拶するだけだが、息子にはいろいろな貢物を持ってくる。
本当に私の遺伝子を持っているのかどうか分からない息子が一人立ちしたのである。妙に家賃が安いので何か因縁付きの部屋ではないのかと私は思った。私は部屋を見に行ってやると恩着せがなしく言って、息子の部屋に入り込むと、水回りから天井裏までお札を捜したが見つからなかった。気のせいか何か違和感があるのだが、それが何か分からなかった。
病気のせいで息子は会社を退職することにしたが、本人は会社に行くことができないので私が会社に行ってきた。引越の準備をしている時に私は自分の間違いに気づいた。お札が貼っていないから呪いがあるのだ。お札を貼っているところは呪いたくても呪えないのだと。私はさっそく見えないところに1000円札を数枚貼っておいた。
ああ、今日もいいことをしたが、帰りの高速代がなくなった。
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